プロセスワーク・アプローチによる東北地方太平洋沖地震のトラウマへの取り組み
エマッチさん
プロセスワークの創始者A.ミンデル氏の高弟で、オーストラリア人のMs.エマッチ(Emetchi)が東京でワークショップを開くと聞いたのでいってきました。テーマは「プロセスワーク・アプローチによるトラウマへの取り組み」です。
エマッチさんは3月11日に起こった東北地方太平洋沖の地震が被災者の方のメンタル面に悪影響がでてくることをたいへん心配されてました。今回のワークショップは、プロセスワークが被災者の方のこころの悩みを軽減するのに少しでもお役にたてれば、というプロセスワーカー達の気持ちから実現する運びとなったものです。
アウェアネス(Awareness)の3つのレベル
プロセスワークにおいては、わたしたちの住む世界は三つのレベルで認識されます。
インナー・ワーク(内なる旅)
エマッチさんがプロセスワーカー、今日のワークショップ参加者の1人がクライエント役になってインナー・ワークが演じられました。クライエントはまずトラウマを受けた状況を思い起こします。エマッチさんはクライエントが、起きたことの詳細にではなく、トラウマを作り出したエネルギーに焦点をあてるようにサポートします。どんなエネルギーだったのかを探求しながら2人は徐々にアウェアネスの深い層に入っていきます。自然にボディーワークが起こります。無意識に繰り返される2人のボディーワークがだんだん大きく激しくなっていきます。時間が経過して、最深層のエッセンスのレベルに達したのでしょうか、動きはしだいに小さく、ゆっくりになってきました。クライエントはエッセンスの感じを味わい、その感覚としばし共にいます。
しばらくしてクライエントは、エマッチさんのリードによってドリームランドを経て再びコンセンサスリアリティーの世界に戻ってきます。エッセンスのレベルで得られたエッセンスの意識(静かなエネルギーに似た感覚なのでしょうか?)と共に。
エマッチさんは、現実世界に戻ったクライエントにエッセンスの意識で現実の生活を見つめるように導きます。トラウマを作り出したエネルギーのエッセンスを感じることによって、クライエントにはワークを始める前とは違った世界が見えてきます。こうしてクライエントは目の前の問題や課題に前向きに取り組み、障害を乗り越えていくことができるようになっていきます。
精神世界とプロセスワーク
ワークショップに参加して感じたのは、プロセスワークは「エッセンスの感覚」という精神世界の意識と触れ合うためのワークだということです。 心理療法というよりは、宗教でいう「悟り」の境地に近づくための修行あるいは儀式に近いのかもしれません。また、ユング心理学でいう普遍的無意識の中に存在する太母の元型(Archetype of Great Mother)の存在を感じるためのワークがもしあるとしたら、それはプロセスワークのようなワークだろうなとも感じました。
プロセスワークは、初期の著作「The dreambody in relationship 1987」におけるドリームボディーの微かなサインから、今回のエッセンスの意識へと進化を続け、今や遥かかなたの高みにまで至ったという感があります。
最深層のエッセンスレベルのアウェアネスは、まさに心理療法と精神世界のあいだの人為的な境界線を無意味にしてしまうな画期的な一撃ではないかと思います。
【補足】プロセスワークと精神世界のつながりにご興味あるかたには、Mr. A. Mindellの最新書 "ProcessMind - A User's Guide to Connecting with the Mind of God", 2010出版 のご一読をお勧めします。